国内インターネット広告市場の動向
スマートデバイスなどのモバイル分野を中心として成長基調を維持
インターネット広告の各セグメントにおいても成長率格差が拡大
2010年の国内インターネット広告市場は、世界的な景気悪化の影響を受けた前年とは対照的に拡大したが、成長率は10%を下回る結果となった。国内インターネット広告市場における成長のモメンタムは継続していると考えられるものの、成長率は低下傾向を呈しており、総体としては停滞感が漂う形となっていた。
電通が発表した「2010年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費は、対前年比9.6%増の7747億円である。新聞、ラジオ、雑誌の広告市場が年率成長5%以上の縮小を続ける一方、インターネット広告市場はテレビに次ぐ広告市場として確固たる地位を確立した感がある。
検索連動型広告、モバイル広告が市場を牽引
2006年ころより、インターネット広告市場は検索連動型広告と、モバイル広告に牽引されて成長を続けてきたが、2010年も同様の構図である。広告制作費を除く市場の内訳をみると、モバイル広告は前年比16.5%増の1201億円、PC向け検索連動型広告同19.0%増の2035億円であった。
一方、PC向け純広告は同5.0%増の2841億円となり、インターネット広告市場のセグメント間での成長率格差が顕著となっている。
モバイル広告市場は、3.5G端末あるいはスマートフォンの浸透、定額データ通信サービスの普及をはじめとする通信整備インフラの整備進展、またモバイルからの利用が多いCGM(消費者生成メディア)の利用者増大を要因として成長基調を維持した。モバイル広告の主な出稿業種は、モバイルコンテンツプロバイダーや通販、金融関連など見込み客の行動を促す直接的なアプローチや販促などを重視する業種が中心となっている。
検索連動型広告は、ある程度購買意欲を持つ消費者に対して露出されることから、高い広告効果を見込める点、広告がクリックされた時にのみ広告費が発生するため、投資対効果(ROI)が明確である点、小額の予算で出稿できる点、出稿から掲載までのリードタイムが短い点などの特徴により、2010年の国内インターネット広告において市場の38.2&を占めた。スマートデバイスでは検索ワードの入力が容易であることや、広告スペースの割合を上げても高い操作性のために消費者の抵抗が少ない事もあり、PC・モバイル向け検索連動型広告は、引き続き堅調に成長トレンドを持続すると見られ、アメリカ同様、日本でも40%台後半までシェアを拡大する可能性がある。
広告制作費ついては、対前年比3.0%増の1670億円となった。従来、媒体日の伸び率と制作費の伸び率は連動する傾向があったが、2010年は媒体比が前年比9.6%増加する一方、制作費は3.0%に留まった。これはディスプレイ広告に対して制作費の低い検索連動型広告市場の比率が高まったことによると考えられる。
2010年の市場拡大を支えた要因
2010年は、金融、不動産、人材、をはじめ、通販、自動車、旅行、レジャーなど多数の業種からの出稿が増加し市場が拡大した。この要因を広告主、消費者およびマクロの3要因から考察する。
広告主サイドの要因として、企業業績の回復が挙げられる。2010年の財務省の法人企業統計によると、全企業(金融・保険を除く)合計の売上高は、2007年以来3年ぶりに年間のすべての4半期を通じて対前年同期比で増加した。(特に1-3月は+10.6%、4-6月は+20.3%)。
消費者サイドの要因としては、インターネット視聴時間の拡大がある。博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2010」によれば、2010年のインターネット視聴時間は1日当たり1時間42分となり、前年から17分増加している。増加トレンドとしては、インターネットを通じた情報収集、消費、娯楽が着実に浸透していることがうかがえる。
マクロ要因としては、資産価格の上昇および個人消費の拡大がある。猛暑あるいはエコポイントなど需要喚起対策も関連企業の広告出稿を促したと推察される。
一方で長期的にはインターネット広告市場は成長市場から成熟市場へとシフトしている。かつてはインターネット普及率の上昇、ブロードバンド接続の浸透、および広告出稿企業の増加により年率20%以上のペースで市場が拡大したが、いずれの要因も広告市場の成長ドライバーとしての存在感は低下している。総務省の「通信利用動向調査」によると、2010年末のインターネットの人口普及率は前年から0.2%増加して78.2%となったが、増加幅は1997年以来最低となり、減速傾向が顕著である。通信速度に関しては、インターネット接続世帯のうちナロードバンド接続の比率は21.2%まで低下した。通信速度の高速化は今後も進行すると思われるものの、従来のようにPVの飛躍的増加に直結する蓋然性は高くないものと考えられる。また新たにインターネット広告への出稿を開始して市場拡大を牽引する業種は近年見られず、業種の広がりは一巡しつつあるものと推測される。
~今日の一言~
国内のインターネット広告の割合も現在で約4割。そしてこれからもますます伸びていくことが確実となると、競争も激化しそうですが、質の高い商品が生まれ、循環していきそうです。。
広告もインターネットが1位になる日もそう遠くはなさそうですね。これからの動きが楽しみです。
出所元
「インターネット白書2010」(c)impress R&D, 2011
作成者 八窪










